”食事”、”運動”とともに健康の要である”睡眠”は、「脳と身体の休養」「疲労回復」「ストレスの軽減」「記憶の定着や整理」など、重要な役割を担っている。忙しく過ごしているとつい睡眠時間を削ってしまいがちだが、仕事のパフォーマンスに悪い影響を与えているかも。
また、自覚がないうちに睡眠の質が低下しているケースも少なくない。睡眠時間は十分なはずなのに朝起きた時になんとなく疲れが残っている、などの悩みを抱えている場合は、夜ぐっすり眠れていない可能性が高い。
良い仕事は良い睡眠から。1日の疲れは夜のうちにしっかり回復させ、翌朝から100%のコンディションで仕事に臨みたいところだ。そのためにまず見直すべきは枕かもしれない。
睡眠に関わる製品やサービスを提供するドイツ発のスリープテック企業 Emma Sleep Japan合同会社が行った調査*1 によると、現在使っている枕に「とても満足」と回答した人は全体の1割という結果に。さらに、枕を選ぶときの悩みとして最も多かったのは、「自分に合っているのか分からない」というもの。
◇今使っている枕に満足していますか?
◇枕を選ぶときの悩みを教えてください
*1:「コロナ禍における働く男女の睡眠意識調査」20~60代の男女1053人を対象に実施(2021年9月実施)
実は、身体に合わない枕を使い続けると、寝つきが悪くなる、眠りが浅くなるなど睡眠の質の低下のほか、いびき、肩コリや首のコリ、腰痛の原因となることも。寝具といえばマットレスを一番に思い浮かべる人が多いかもしれないが、健康的な睡眠のためには枕も同じくらい大切なのだ。
知っておきたい枕のあれこれ
新年を間近に控えたこのタイミングで、家具や生活必需品の買い替えを検討している人も多いはず。枕を購入する時にチェックすべきポイントは?お手入れの方法は?買い替えのタイミングは?そんな疑問を枕選びのプロともいえる寝具メーカーの方に直撃!
お話を伺ったのは、Emma Sleep Japan カントリーマネージャーの小原拓郎氏。
・自分の身体に合う枕選びのポイント
枕選びに大事なのは、ズバリ「高さ」「素材・硬さ」「サイズ」。
「人は寝ている間、無意識に20~30回ほど寝返りを打つと言われています。枕が身体に合っていないと寝返りが上手く打てず、首の1ヵ所が圧迫されてしまい、寝ている間ずっと腰に負担がかかってしまうのです。さらに、枕が柔らかすぎたり、小さすぎてもうまく寝返りが打てません」と小原氏。
最初に挙げた3つのポイントは、どれもスムーズに寝返りを打てるかどうかに大きく関わってくるもの。ひとつずつ解説してもらった。
1.高さ
「身体に合った枕の高さは、体格がガッチリしている人は首の深い部分とベッドとの隙間が大きいので高め、痩せ型の人なら低めがオススメです。
また、仰向け、横向け、うつ伏せといった寝姿勢の好みによっても、フィットする高さが変わってきます。仰向けの場合は低めで、頭が枕に少し沈み込んで首よりも低い位置になっているのが良いです。自然な姿勢であごが上がり、呼吸しやすくなるので、いびきの防止にもつながりますよ。
横向きだと肩幅がある分、高さのある枕がフィットしやすいです。一方、うつ伏せで寝る場合は顔を横に向けて寝ることになります。枕が高いと不自然な角度がついて首に負担がかかってしまうので、低めの枕が良いでしょう。リラックスして自然な姿勢で眠れる高さを意識して選びましょう」
2.素材/硬さ
「枕に熱がこもると、深部体温が下がりにくくなり、スムーズな入眠の妨げになってしまいます。そのため、通気性や放出性が優れている素材の枕がオススメ。
枕カバーを変えることでも対処できないわけではありませんが、一番大切なのはやはり枕本体の素材。熱がこもりづらくなることで、ひと晩中快眠できる睡眠温度を保ってくれます。
硬さに関しては、マットレスと身体のすきまを埋めて頭と首をしっかりサポートできるものであれば、好みの感触のものを選んでOK。一般的には、体格ががっちりしている人は硬め、瘦せ型の人は柔らかめを好まれる傾向があります」
3.サイズ
「寝返りが十分にできるサイズであることが重要です。一般的な日本人の体型であれば、標準サイズ(63cm x 43cm)で問題なく寝返りできます」
また、身体に合う枕を使うことと同じくらい大切なのが正しい寝姿勢で寝ること。
「仰向けの場合、まっすぐに立っている時の姿勢(背骨が緩やかなS字カーブを描いている)でそのまま仰向け寝になるのが理想的です。横向きの場合は、背骨と床がまっすぐ平行になる状態で寝ると良いでしょう。これらの寝姿勢が崩れてしまうと、身体の一部に負担がかかったり、血行が悪くなってしまい、十分な睡眠時間をとっていても休息感が得られなくなります。正しい寝姿勢を保つには、枕はもちろんマットレスもこだわって選ぶのがベストでしょう」
・枕のお手入れ方法
「枕の湿気を飛ばしダニを防ぐために、定期的に干すようにしましょう。使っている枕の素材に合わせて、天日干しまたは陰干ししてください。たとえば、低反発ウレタンの場合は陰干しになります。また、カバーを頻繁に取り外して洗うことも、長く清潔に使い続けるために心がけたいポイントです。
素材により異なりますが、一般的な枕の寿命は1~5年ほど。中材がヘタってへこんできたら買い替え時です」
自分に合う高さにカスタマイズ!
エマ・ピローをお試し
今回、エマ・スリープの人気製品「エマ・ピロー」を体験させてもらうことに。
エマ・ピローとは?
通気性の高い繊維とフォーム素材を使用。中材は、適度な沈み込みで頭部をしっかりと支えてくれるエア・ゲルフォーム、通気性が高く柔らかいHRXフォーム、粘弾性があり身体にフィットするメモリーフォームの3層構造となっている。これらを出し入れすることで好みの高さ(5cm、7cm、12cm)に調節が可能で、さまざまな寝姿勢に対応。カバーは取り外しでき、洗濯機で洗ってOK。
まさに”枕選びの3つのポイント”を満たしている枕といえる。
体験するのは編集部の柳原。
「今使っている枕は10年ほど前に購入。自分の身体に合うよう高さをオーダーしたものなので不満を抱いたことはないのですが、購入してからかなり時間が経っていることもあり、今の自分にもっと合うものがあるかも?と、思うことがあります」
普段使っている枕は硬めで厚みはなく、沈み込まないタイプ。ひとつの枕を10年愛用しているとなると、新しい枕に慣れるまでなかなか時間がかかりそうだが…。エマ・ピローの寝心地をどのように感じるのだろうか。
Day1
シングルベッドに置いた時のサイズ感はこんな感じ。写真から想像していたよりも大きく、厚みも感じる。
普段の枕との大きな違いは高さ。並べて比較するとエマ・ピローのほうが1.5倍ほど厚みがあり、寝心地に違いを感じるポイントとなりそうだ。
表面はサラッとした素材。硬くはないがハリがあり、力を入れた指で押してもしっかり反発がある。
まずは、そのままの高さ(3層)で寝てみることに。
「頭を置いたときに高く感じたので少し不安だったのですが、頭がゆっくり沈み込んでいってしばらく経つとちょうどいい高さになりました。朝起きた時も体に痛みはなく、ぐっすり眠れていたようです。
僕は普段から仰向け寝なのですが、試しに体勢を横向きに変えてみたら少し高いように感じました」
Day2
せっかくなので違う高さも試してみる。高さの調整は簡単で、ファスナーを開けて3層構造のフォームを出し入れするだけ。
「2層にしてみたところ、厚みがやや薄くなったからか1日目と比べてスムーズに頭になじんだ気がします。仰向け、横向き、うつ伏せなど、体勢を変えた時の違和感が少なくて、色んな寝姿勢で寝る人や頻繁に寝返りを打つ人に良さそうだと思いました」
「2層だと、仰向けの時にもう少し高さがあってもいいように感じたので、明日はまた元の高さで寝てみることにします!」
Day3
「再度、中のフォームを3層にして寝てみたところ、しっくり。ゆっくり頭になじんでいく感覚もだいぶ慣れてきました。寝起きの感じは1日目、2日目とあまり変わりませんでしたが、3層で寝たほうが寝つきが良かった気がします」
「あ、この高さこの高さ」と満足そうな柳原。
「うつ伏せ寝にオススメとされている1層も試してみました。寝るときの高さとしてはやはり3層が好みだったのですが、寝転がって本を読んだりスマホを触ったりと、くつろぐときにはこの高さが良さそう」
3日間使ってみて
「適度な反発力とフィット感が心地よく、幅広い人に合いそうな枕だなと思いました。特に高さ調整ができるのが優秀。僕の場合は普段の枕が長い間使ってきたものなので、最初少し違和感があったものの、3層の高さがしっくりきて快眠できました。自分に合う枕がどんな枕か分からない人に是非試してみてほしいですね。また、こだわった枕を使いたいけど、オーダーメイドだと金額的になかなか手を出せないという人にも良さそうです」
睡眠時間は人生の1/3を占めるという。人生の長い時間を過ごすからこそ、しっかり環境を整えたいものだ。寝具一式を一気にそろえるとなるとなかなかの出費だが、まずは比較的手ごろな価格である枕から見直してみてはいかがだろうか。
商品紹介
商品名:エマ・ピロー
サイズ:幅63cm 長さ43cm 厚み12cm
重さ:1.61kg
価格:10,000円(税込)