美容業界の若手起業家
野口卓也氏が語るメンズ美容の今

話題のメンズコスメ「バルクオム」仕掛け人を直撃

メンズコスメブランド「BULK HOMME(バルクオム)」を若干25歳で立ち上げ、ウェブ上で起業資金や活動資金を募るクラウドファンディングで国内最高額となる約3100万円の資金調達を実現させた野口卓也さん。今、メンズ美容のジャンルに新たな旋風を巻き起こすべく突き進んでいる野口さんに、なぜ今メンズ美容なのかについて話を聞いた。

 

――「バルクオム」を始めようと思ったきっかけを教えて下さい

 

ひとことで言えば、勝てると思ったから。様々な要因により化粧品業界が停滞している中で、唯一のびているのが男性用化粧品の市場なんです。けど「メンズコスメと言えば」みたいなブランドって、現状ないんですよね。世界的にみると、日本の男性美容市場って3位なんですけど、1位の韓国はマーケットが日本の倍で人口が半分なので、単純計算で約4倍の人がスキンケアなどの美容行動をしているんです。そう考えると、まだまだ日本には開拓できる男性っているんじゃないかと。僕はもともとITの人間なので、ウェブでリサーチしていったところ、20代30代の男性にアプローチすることで新たなビジネスチャンスが生まれると確信しました。

 

――立上げから1年ほど経過しましたが、実際どうですか?

 

おかげさまで好調ですね。そもそもの選択肢として、メンズコスメ自体が少ないことと、男性の性質として1度ハマったら使い続けてくれるので、リピーターのお客様が多いことが要因だと考えています。バルクオムでは、3日分の試供品を100円(送料込み)で販売しておりますが、それなりの確率で、その後実際の製品を購入をしていただけていることが成長の原動力ですね。

 

――送料も含めて試供品100円って赤字じゃないですか

 

そうなんですよ(笑)。でも、試していただく機会をつくって販売していきたいんです。というのも、お客様のほとんどは「化粧水って何?」「使ったことない」みたいな男性なので。だからこそ、お客様ひとりひとりに話しかけるようなマーケティングをしていきたい。納得して買ってもらって、それによって会社自体も強くなっていくし、良いお客様にも恵まれていくかなと思ってます。

 

――商品に自信があるからこそできることですね

 

中身には相当こだわっていますよ。「バルク」って化粧品の中身をバルクって呼ぶことからつけたブランド名なんですけど、中身を買って頂いただくという訴求をしていきたい。だから、パッケージも敢えて中身が見える容器を使っていますし、我々のつくるものは、シンプルだけど贅沢で効果があるんだよってことを伝えていきたいんです。

 

――とはいえ、まだまだメンズコスメって敷居が高いイメージですよね。新たな顧客層の開拓については、どのように考えていますか?

 

まずは、男性の多くが抱いている美容に対する“壁”を壊したい。メンズコスメって、まだまだ女々しいイメージがあるし、女性も引いてしまう場合があることが壁になっていると思うんです。最初は苦労してでもこの壁を壊して「バルクオムってイケてるブランドだよね」「それをライフスタイルに取り入れてるってかっこいいよね」といったイメージを作っていくのが我々の使命だと思ってます。始まったばかりのブランドですけど、資金繰りを頑張って(笑)、パフォーマーさんやイベント等への協賛活動に力を入れているのもそのためです。

それと、女性用の化粧品って選択肢が無限のようにあるじゃないですか。でも、男性が同じ状況に立たされたら何も選べないと思うんですよね。「とりあえずこれだよ」と、最初の一歩をご用意することが、新しくメンズコスメをはじめた我々のやるべき事かなと思っています。

 

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画像左から、「The Face Wash( 洗顔料)」2,000円(税別)、「The Toner(化粧水)」3,000円(税別)、「The Lotion(乳液)」3,000円 (税別)

 

 

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野口卓也(のぐち・たくや)

株式会社バルクオム代表取締役。1989年2月20日、東京生まれ仙台育ち。慶應義塾大学環境情報学部中退。ITベンチャー、飲食店の創業を経て、2013年4月2日にメンズコスメブランド「BULK HOMME」をスタート。2014年4月にクラウドファウンディングにて、メンズサロンのオープン資金となる31,396,500円を調達し、当時の国内最高額を記録。

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取材・文/GROOMEN編集部