春から始めるデンタルケア特集。前回の「ムシ歯になってからじゃ手遅れ? 最近よく聞く「初期ムシ歯」とは」に続き、ライオンのオーラルケアマイスター(歯科衛生士)河村有美子さんに話を聞いた。前回、「初期ムシ歯」の段階なら本格的な虫歯になるのを食い止めることができることが分かったが、そのために必要な「フッ素」について、もっと詳しく解説してもらおう。
歯磨きの成分表をチェック! フッ素の取り入れ方とは
「フッ素は歯を酸に溶けにくくする『歯質強化』、『細菌の酸の再生抑制』、そして歯から溶け出したカルシウムやリンの再沈着を促進する『再石灰化』の3つの効果があり、いずれもムシ歯になりにくい強い歯を作る働きがあります。特に再石灰化は、前回お話ししたとおり初期ムシ歯を健康な歯に戻すためには欠かせません。フッ素を取り入れる方法としては、歯科医に高濃度フッ素を塗ってもらったり洗口液を処方してもらったりという方法がありますが、フッ素配合のハミガキを使うことで日常的に取り入れることも可能です」
フッ素を含んでいるハミガキは、パッケージの成分表に『フッ化ナトリウム』『モノフルオロレイン酸ナトリウム』などと記載されている。現在市販されているもののおよそ9割はフッ素が配合されているとのことだが、念のため購入前に確認するといいだろう。
プラスアルファのケアでフッ素の効果アップ!
「フッ素はただ使うだけではなく、微量のフッ素を口の中に残すようにするのが理想的です。そのためにはまず、年齢に合った量のフッ素を与えることが大切。大人の場合はハミガキのチューブから絞り出したとして1~2cm分が目安です。すすぎの水はコップに指1本分ぐらいの少量を目安として、すすぎすぎないことがポイント。また、使用後1~2時間は飲食をなるべく控えて下さいね。」
よりフッ素の効果を発揮させるならプラスアルファのケアを。フッ素を歯に滞留しやすくする成分を含むハミガキを使ったり、寝る前にフッ素のジェルを塗ったりするとより効果的なのだとか。眠っている間は、カルシウムやリンを含む唾液の分泌量が減り自浄作用が少なくなってしまうため磨き残しを放っておくと菌が繁殖し、ムシ歯のリスクが高まる時間帯。しかし、その時間を逆に利用してフッ素を取り入れれば、フッ素が口の中に残りやすいため寝ている間も再石灰化が進み、初期ムシ歯の進行を食い止められるというわけだ。
また、フッ素はお茶や海藻、魚介類など、身近な食材にも含まれているという。特にお茶は、食後の酸性に傾きがちな口の中を中性にしてくれる働きもあり、「海藻や魚介類を食べ、食後は1杯のお茶を飲み、フッ素配合のハミガキを使って歯を磨く……これが歯の再石灰化のためにはベストと言えるのかも? そこまで神経質になる必要はなくとも、歯の健康のために日頃からフッ素を取り入れる生活を意識してみては。
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取材・文/芳賀直美(OUTSIDERS Inc.)