お気に入りの革靴ニオわせない!
自分でできる簡単お手入れ法とは

 

お気に入りの革靴はなるべく長くつき合っていきたいものだが、ニオイが気になってきた、という悩みはないだろうか?
革靴はスニーカーとは違い、修理などメンテナンスをすることで10年以上履き続けることだって可能なのだ。

そんなお気に入りの革靴をニオわせず長く履き続けるために、正しい知識やケア方法を知っておきたいものだ。
そこで靴の専門家である「ハドソン靴店」村上さんに、ニオイ対策できるケア方法などをわかりやすく教えてもらった。お気に入りの革靴の日々のケアぜひ役立てて欲しい。

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まずは日頃のケアが大切! 革靴の基本的な革靴のケアを知ろう

 

実は、足は1日にコップ1杯分もの汗をかくといわれている。お気に入りの靴は毎日履きたくなるものだが、前日の汗が染み込み、乾き切らないうちに次の日も同じ靴を履いてしまうと、雑菌が常に繁殖している状態になってしまう。

結果、靴に嫌なニオイが染みつく原因になってしまうことに……。

 

長く履き続けるためには、正しいケアを常日頃からしておくのが大切になってくる。
そこで自分でできる簡単な方法として、革靴には次のことに気をつけると良いそうだ。

 

1 同じ靴を続けて履かない
2 靴底のすり減りを防ぐためには正しい姿勢で歩く
3 こまめにブラッシングをする
4 シューキーパーを使用して、靴全体の型崩れを防ぐ
5 靴を濡れたまま放置しない
6 消臭スプレーを使う

 

上記の6項目は簡単にできて効果も高いそう。また、足のニオイケア商品などと併用するとより高い効果が期待できることは間違いない。

しかしながら、これらのことを常日頃からやろうとすると負担に感じる方も多いだろう。

 

「ラバーソール仕様の靴であまりに足が蒸れてニオイが気になるようであれば、無理をせず最初から通気性の良いレザーソール仕様にオールソールしてしまうのもひとつの方法です。何百年もレザーソールが続いているのは、未だにレザーソールほど通気性がよく長持ちする素材が生まれていないからです」と提唱するのが、横浜にある靴リペアの名店「ハドソン靴店」の村上さんだ。

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専門家が伝えたい、革靴のポイントはソールにあり

 

「当店ではラバーソールの靴は『オールソール』という手法で、レザーソールを貼ることで通気性を良くすることをおすすめしています。レザーソールで通気性が良くなることで、靴にとって最も重要な部材である中底を痛めることなく、すり減った場合は再度レザーソールを交換するだけで済むので、結果長く愛用できるというわけです。もちろん靴はTPOが問われるものですので、ご職業によっては完全晴れの日しか使用できないレザーソールでは困るという方には、ラバーソールや革底へのハーフラバーなどの修理もお勧めしております」(村上さん)

 

確かに靴のデザインやアッパー部分は丁寧に手入れをするかもしれないが、靴底にまで気を回す人は圧倒的に少ないだろう。

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「伝統的な紳士靴は、持ち主が使い込むことで革が足に馴染み理想の一足へと近づきます。オールソールは、単に靴底の交換をするものでなく、理想の靴へと近づける大切な工程です」(村上さん)

さらに、つま先を補強することも大切だと村上さんは続ける。

 

「つま先は削れやすいパートです。ウェルト部分まで傷んでしまう前に爪先スチールで補強すれば、靴底の糸(ステッチ)が地面に摩れて切れてしまわないようにする『糸切れ防止』の役割を果たします」

 

靴のニオイを防ぐには、とにかく通気性が重要となってくる。「天然の革を用いられた革靴は、日々呼吸している」と言われるのは、皆さんもご存知だろう。

 

「靴に使用されている天然皮革は人間の肌と同じように、手入れをしなければ乾燥し、保湿をすれば潤います。汗を吸ったり分散させたりといった働きがあるため、特にレザーソールの靴の場合、夏場などは足のムレが少し緩和されていることにお気付きになるかもしれません。ラバーソールの場合は革の呼吸をふさいでしまうことになるため、湿気がこもる原因となってしまいがちです。

また帰宅後は、縫い目やシワに沿って軽く全体をブラッシングするといいと思います。汚れやホコリを落とすことは革の劣化を抑える効果があり、それをするだけでだいぶ違います」

 

なるほど、ラバーソールだと靴の中のムレが発生するのはイメージできるものだ。村上さんは脱いだ革靴の保管方法にもポイントがあると教えてくれた。

 

木製シューキーパーは湿気を取るのに効果的です。プラスチック製のものやバネが強すぎるタイプのシューキーパーは避けたほうがいいでしょう。意外と自己流で間違ったケアをしている方も多いんですよ(笑)」

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簡単で楽、かつニオイの元を根本的に撃退できれば、それが一番! というものだ。

 

「オールソールは家の基礎工事と同じようなもの」と話す村上さん。

 

だからこそ大切している革靴に対して、どのような修理を行われていくのかを知ることが大切だ。愛足に対する我々お客としての知識や思い入れも大切になってくるに違いない。

慣れないうちは、革靴のメンテナンスは面倒だし時間がかかってしまうかもしれないが、愛情をかけるほど、大切な革靴が長持ちし、ニオイ対策もきちんとできて安心というものだ。

しっかりとメンテナンスし、ニオイの気になる季節はもちろん、お気に入りの一足をきれいに保ちたいものだ。

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取材にご協力いただいたのは…
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ハドソン靴店 村上 塁さん

吉田茂元首相をはじめ多くの著名人の靴づくりを手掛けてきた先代の佐藤正利氏の後を継ぎ、現在ハドソン靴店の2代目として活躍。靴の修理を手がける一方で、2018年春より受注生産の靴店をオープン。

 

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【ハドソン靴店】
神奈川県横浜市神奈川区松本町3-26-3
☎045-294-3162

 

取材・文/竹治昭宏