社会人である以上、どんなにズボラな性格であっても身だしなみへの気遣いは必須のマナーだ。
おしゃれと身だしなみの違いについて、前者は「自分のために」するもの、後者は「他者のために」するものとよく言われるが、多くの人と関わり、信頼関係を築く必要があるビジネスの場においては特に意識しておきたい考え方である。
マンダムの調査によると、「先輩社員が気になる新入社員の身だしなみ」は「ニオイ」が約7割、次いで「服装」が約6割、「髪・毛」が約5割、「肌」が約4割という結果に。
中でも、清潔感に直結する「ニオイ」と「髪・毛」は特に減点幅が大きいとの意見が寄せられたとのこと。これを読んでいるあなたも他人の身だしなみが気になった経験が一度はあるだろう。
編集部は、マンダムが開催した就活生向け身だしなみセミナーに潜入。ランキング上位に挙がった「ニオイ」「髪」「肌」の日頃のケアについて、実演を交えた身だしなみレッスンは若手社員のみならず参考になるものだった。
就活生、新入社員はもちろん、社会人経験が長く自信がある!という人にも、普段の身だしなみを振り返りながら読み進めていってほしい。
1.ニオイ
男性の体臭研究のエキスパートであるマンダムは、臭気判定士の資格を持つ研究員が日夜研究に取り組んでいる。これまでに体臭を調査した人数はなんと1,800人を超えるのだとか。
「同僚や上司がクサいとき、どう評価するか?」というアンケート(マンダム調べ)では、「一緒に仕事をしたくないと思う、周囲への気遣い、配慮が足りていないと思う」という回答が、半数近い約40%集まる厳しい結果に。また「尊敬できないと思う」という回答も約20%と、いくら仕事ができても、体臭ケアができていないとマイナスな印象を与えてしまうという悲しい現実が明らかになった。ニオイは印象を決める大きなポイントといえる。
マンダムは、他人に対して特に気になりやすいワキのニオイを7タイプに分類。
例えば、赤ちゃんの肌のような不快感のないニオイは「ミルクタイプ」。その他にも「カレースパイスタイプ」や「すっぱいタイプ」、「カビタイプ」などが存在する。これらのニオイがいくつも混ざり合って、その人特有のワキのニオイになっているそうだ。ちなみに、男性は女性よりも不快なニオイを持っている割合が多いという。
会場には「すっぱいタイプ」「カレースパイスタイプ」のサンプルが用意されていて、実際に嗅がせていただいた。
筆者の言葉で表現すると、「すっぱいタイプ」はヨーグルトの酸っぱいニオイを凝縮させたようなツンとしたニオイ。「カレースパイスタイプ」はまさにその名の通りで、スパイシーで刺激のあるニオイだった。どちらもなんとなく嗅ぎ覚えのあるニオイ…と思っていたところ、広報の方の説明で「運動部の部室のニオイ」となんともぴったりな表現があり納得。
ニオイケアのポイントは、発汗の具合やタイミングに合わせて「洗浄」「制汗」「殺菌」「消臭」の順に適切な対処をすること。アイテムの効果を最大限に発揮するため、さまざまなタイプを使い分けることをオススメする。
密着力が高いロールオンタイプ、スティックタイプは、防臭効果の持続力が高く、朝の使用にピッタリ。日中汗をかいてしまったときには、ボディペーパーやスプレーといった手軽で持ち運びやすいアイテムで汗を抑えよう。もしも、大量の汗で衣類に汗やニオイが染みこんでしまった場合は、服の上から消臭できたり、クールダウン効果のあるスプレーを使うことでニオイの発生を軽減できる。
2.髪型
しっかりスーツを着ていても髪型がイマイチだと、どこかあか抜けない印象を人に与えてしまう。視覚で把握できる他人の情報の中で、髪型が与える印象の比重はかなり大きいからだ。つまり、「私の長所は行動力です」という言葉だけではなく、外見から伝わる印象による後押しがあれば、グッと説得力が増すのだ。
会場では、外見から得られる情報だけで、自分のPRポイントを正しく相手に伝えられるかをチェックし合うグループワークを実施。ほとんどのグループで、自分が思うPRポイントと人から見られた印象にズレが生じていた。
会場では、広報担当者によるヘアセットの実演も行われた。アピールしたいポイントに合わせて少しスタイリングを変えるだけで、ガラリと印象が変わる。
実際にスタイリング体験をする学生たちを見ていて感じられたのは、額の見せ方が全体的な印象に大きく影響するということ。セミナー内で紹介された複数のヘアスタイルにおいても、額が見える面積が広いヘアスタイルがより明るくはつらつとした印象に。ガッツリ額を出すことに抵抗がある場合は、斜め分けなどで額の見えるエリアを作ってあげると明るい印象を与えられそうだ。
整髪剤を使用したヘアスタイリング
1.整髪剤を手に取り(100円玉硬貨大が目安)、手のひらと指の間に伸ばす
2.後頭部、頭頂部、側頭部、前髪の順番で、毛を逆立てるイメージでスタイリング剤を髪全体になじませる
3.与えたい印象に合わせてスタイリングする
さらにワンポイント
「リーダーシップ、行動力」をアピールしたい場合
前髪の根元に指を思い切り差し込み、グッと引っ張り上げる
立ち上がった前髪を90度として、45度くらいのところで左右にわけていくと自然に額が出る
「コミュニケーション能力や親しみやすさ」をアピールしたい場合
手のひらに整髪剤を伸ばし、手を「パー」にした状態から指を軽く曲げ、指の間に髪を軽く挟んで流したい方向に向かって櫛でとくように手を動かす。
3.肌
女性よりも皮脂の分泌量が多く、ベタつきと乾燥が混在している男性の肌。化粧をしないため外気や紫外線の影響を受けやすかったり、ヒゲ剃りによるダメージが蓄積されていたりと常に肌トラブルと隣り合わせなので、ぜひ労わってほしいところ。
こちらもヘアスタイリング同様に実演があった。
広報担当者の話によると、基本的なスキンケアは洗顔と保湿だけで十分なのだとか。しかし、肌のターンオーバー(生まれ変わり)には約1ヵ月要するため、数日スキンケアを頑張っただけでは残念ながら大きな変化は見られないという。美肌を手に入れるためには継続が不可欠だが、以下のポイントを押さえた基本的なスキンケアなら、大きな負担なく続けられるのではないだろうか。
洗顔のポイント
・ぬるま湯で洗う
熱すぎると、肌に必要な油分まで奪ってしまい、乾燥の原因に。冷たすぎると毛穴が開かず、洗浄効果を十分に得られない。
・しっかり泡立てて洗う
泡立てることで毛穴の奥までしっかり洗浄してくれる効果が期待できる。チューブタイプの洗顔料も、まず手の上で水を使って泡立てるのが正しい洗顔方法。泡立てに自信がない場合は、泡で出てくるポンプ式洗顔料もオススメ。
・しっかり洗い流す
洗顔料が肌に残ると肌トラブルの原因になってしまうので注意。
保湿のポイント
・化粧水、乳液などの保湿を手のひらに伸ばす。(500円玉硬貨大が目安)
・肌の奥に押し込むイメージでやさしくプッシュし、ムラがないようになじませる
今回紹介したのはどれも基本的なケア。ビジネスマンに欠かせない「清潔感」は、こうした日頃の努力の賜物だ。是非参考にしていただき、好印象ビジネスマンを目指してほしい。