前回の「男の見た目は健康的な若さが大事」に引き続き、丸の内朝大学「よっ!男前クラス~男が憧れる男のなり方~」で行われた「渋カッコイイ男はお肌もキレイ」というテーマの講義レポートを大公開。講師を務めるのは、男性の肌問題に精通する東京女子医科大学皮膚科教授・川島眞先生だ。講義前半では、肌の老化の要因となっている紫外線、近赤外線についての影響について説明してきた。今回はそんな講義の後半部分をレポートしていこう。
健康な肌(=若々しい肌)を維持するために紫外線対策が重要であることは分かったであろう。では、すでにシミやシワになってしまっている肌はどうすればいいのだろうか。川島先生はその対処法として、最近の美容医療ではそれぞれの状況を緩和・改善させる方法がいくつもあると語る。
<肌に関する美容医療の一例>
・美白化粧品(淡いシミ)
・レーザー治療(シミ、シワ、赤ら顔、多毛)
・ボトックス治療(シワ、多汗症)
・スレッドリフト(たるみ)
これらは何も女性に限ったことではなく、男性も積極的に利用していくべきではと、川島先生は提言。例えば、スレッドリフトなどは衰えが始まる前の30代から始めるとより効果が上がるとのこと。レーザー治療はさまざまな場面で使用されており、その効果はすでに知られている。美白成分が配合された化粧品は軽度のシミには効果があるとされており、化粧品の場合は治療薬とは異なり、その他、保水、保湿成分などが配合されているので、肌の健康維持にも役立つ。また川島先生は自らヒアルロン酸を注入した時のエピソードを語り、注入前後の画像を公開。たしかに眉間のシワがなくなったことで、注入後は若々しい印象になったと実感できたと語った。
オバマもプーチンもボトックス!?
さらに川島先生は「見た目は男の価値を高めるか」という観点から、世界のリーダーである各国の大統領クラスの政治家の“お肌事情”について語り始めた。例えばアメリカのヒラリー・クリントン前国務長官がボトックスリフトを使用していたことは有名な話。夫のクリントン元大統領も、大統領時代は使っていただろうと言われている。現在では、オバマ大統領やロシアのプーチン大統領などもおそらくそうであり、世界のリーダーたちは肌による“若さ”のイメージを、自らの行動力を示すために上手に利用しているということが分かる。一方で、日本の政治家についても「角福戦争」の両者に触れ、年長でシワやシミが目立つ年長の福田赳夫より、多少脂ぎっていても若さあふれる田中角榮の方が“見た目”の部分では勝利していたと分析。今回のテーマと照らし合わせると、見た目(=健康で若々しい肌)で人に与える印象が大きく異なるということが、これらの事例からも証明されているわけだ。
とはいうものの、男の見た目に関して川島先生は次の点も指摘している。カッコイイ男性であることを維持するためには美容医療を利用することも必要だが、美容のやり過ぎは不気味に感じられてしまうこともまた事実。その一方で、清潔感はいくら高めてもいい。この辺のバランスを考えつつ、「知性」「品格」「愛情」「業績」を持ち合わせれば、何歳になっても男はカッコよくいられるのではと結論づけた。
この講義を受けての筆者の感想だが、先に触れた川島先生のヒアルロン酸注入前後の画像を見た時、筆者は注入前の眉間のシワが目立つ川島先生の画像を見て「これはこれで渋みがあっていいなぁ」と感じた。女性と異なり、男性の魅力のひとつに「シブさ」という概念があるように、年齢を重ねてきたことで得られる魅力もあるわけだ。川島先生がおっしゃっていた「美容のやり過ぎは不気味」という意味は、おそらくこの点を指していると推察するが、肌ケアは十分に行いながらも「怠けず・やり過ぎず」という加減が、男のカッコよさを維持するには必要なのではないかと感じた講義だった。
丸の内朝大学 心体学部「よっ!男前クラス~男が憧れる男のなり方~」
東京・丸の内「メンズヘルスクリニック東京」で開催されている全8回の集中講義。各分野で活躍するドクターや専門家が、カッコいい男性の内面・外見を医学的見地から分析し「男が憧れる男のなり方」をテーマにした講義を行っている。また講義内容と連動させた「男性力検査」を数回実施し、受講者の男性力の変化を数値によって確認できるようにするなど、興味深い取り組みも行っている。