出世もアソコも思いのまま?
テストステロンで人生変わるかも

グルーメンへの道|肥満・剛毛・不潔な40代からの脱却

前回のレポートに引き続き、丸の内朝大学で行われた順天堂大学医学部附属浦安病院の辻村晃先生による講義「よっ!男前クラス~男が憧れる男のなり方~」の誌上レポートを大公開。その講義テーマは「魅力的な男性とテストステロンの関係」。まだ読んでない人は、慌てずに前回のレポートから一読されることをオススメする。今回のポイントは生物学的“モテる”要素のひとつ、「免疫力の高さ」についてである。

 

イケメンじゃなくても、免疫力の高い男はモテる?

 

前回同様、生物学的に“モテる”要素として挙げられたポイントは「免疫力の高い男性はモテる」ということ。「自分の遺伝子を強い免疫力を持つ子孫に受け継ぎたい」という女性の生物的本能は、哺乳類、鳥類などの動物にあり、人間もまた然りなのである。前回の講義レポートではルックスのいい男性がモテる理由を紹介してきたが、実際の世の中を観察してみると、必ずしもルックスのいい男性だけがモテているわけでない。その理由は免疫力に違いがあるのだと辻村先生は説明する。

 

まず女性がパートナーを選ぶ場合、子供を安全確実に育てようとする営巣本能が働く。例えばその性格や経済力を重視し、長く安定的に保持できる男性を求めるわけだ。キャバクラで会社経営者や羽振りのよいリッチピープルが人気者扱いされるのは、まさに女性の本能そのもの。そしてモテたいがために、男性が社会的順位を上げようと必死になることも、また本能なのである。

 

少し話が脱線したが、この「免疫力が高いとモテる」ということと、この講義のキーワードである「テストステロン」には、どんな因果関係があるのだろうか。

 

ある調査データによれば…

免疫力の高い男性はテストステロン値が高い

 

猿山に存在する“ボス猿”は、他の個体と比べてテストステロン値が高いことが判明。しかしボス猿の交代劇により失脚した元ボス猿は、テストステロン値も下がってしまうというのだ。交代劇の理由はともかく、テストステロン値の低下により、免疫力の強さを失ったとメス猿が判断したならば、元ボス猿がソッポを向かれても何ら不思議はないわけだ。

 

社会的な成功・失敗にもテストステロンの数値が関係?

 

これは人間世界でも同じで、2008年のアメリカ大統領選挙を争ったオバマ大統領とマケイン候補を支持していた有権者のテストステロン値を測定した結果、勝利したオバマ大統領が比較的高い数値で安定しているのに対し、マケイン候補は敗北が確定した瞬間と40分後の2度に渡り、右肩下がりの数値になっている。数値的には20分後に回復の兆しを見せてはいるが、やはり敗北のショックが影響し、マケイン候補のテストステロン値が下がったと考えられる。

 

もうひとつのデータは、証券会社が立ち並ぶウォールストリートでの調査結果。ドイツ銀行のロンドン証券所取引担当者17名を対象に行われた調査では、テストステロン値の高い被験者が証券取引で大きな成果を上げていたというのだ。この因果関係については、テストステロンの増加によって好結果となったのか、好結果を受けてテストステロンが増加したのかは不明。しかしこれらの調査結果からも、社会的な成功・失敗がテストステロン値の変化に何らかの影響があることは、どうやら間違いなさそうである。

 

またある調査では、免疫力の高い男性のテストステロン値が高いとされる一方で、ストレスによりコルチゾールという物質が大量に分泌されると、免疫力が低下し、テストステロンの値も下がることが判明している。コルチゾールはうつ的な状態のときにも値が高くなるとされ、それを抑えるにはストレスを減らすことが肝心のようだ。このような点から、辻村先生はテストステロンの分泌と抑制に関しての要素として、それぞれ3つ挙げている。

 

【テストステロンの分泌】

促進

・適度な栄養と睡眠

・筋肉トレーニング(30分程度の有酸素運動)

・大きな野望と自信を持つ

 

抑制

・安定した生活

・勉強などの頭を使う行為

・ストレスや敗北感

 

促進の3要素について納得がいく一方、抑制の3要素について自分の生活で思い当たる節がある人も多いのではないだろうか。テストステロンの促進を考えると同時に、自ら分泌を抑制しないように心がけることも、現代社会を生きていく上では重要なことだといえそうだ。

 

“モテるサプリ”としてテストステロンが流行る日も遠くない?

 

また、テストステロンの補充について、欧米に比べると日本ではまだ選択肢が少ない点を指摘。将来的にその状況は改善されると思われるが、そんな中、辻村先生が注目しているのが、レスベラトロールという物質だ。これはブドウの皮などに微量含まれているポリフェノールの一種で、ED(勃起障害)治療に使うバイアグラなどのPDE5阻害剤と併用すると、単体で投与するよりも効果がアップすることが判明。このレスベラトロールはテストステロン値を上げる効果もあることも確認されている。ちなみに、レスベラトロールとアミノ酸の一種・L-シトルリンの合剤は“精力剤”として一般に流通しているため、入手も容易。これを摂取することで、テストステロンの増加を助け、さらに勃起力が改善されるとなれば“モテるサプリメント”と呼ばれる日が来るかもと語り、辻村先生は講義を締めくくった。

 

 

<今回取材させてもらった講義>

丸の内朝大学 心体学部「よっ!男前クラス~男が憧れる男のなり方~」

東京・丸の内「メンズヘルスクリニック東京」で開催されている全8回の集中講義。各分野で活躍するドクターや専門家が、カッコいい男性の内面・外見を医学的見地から分析し「男が憧れる男のなり方」をテーマにした講義を行っている。また講義内容と連動させた「男性力検査」を数回実施し、受講者の男性力の変化を数値によって確認できるようにするなど、興味深い取り組みも行っている。

 

中村 慶(なかむら・けい)
フリーライター・編集。1972年生まれ。“肥満・剛毛・不潔”な現状からの脱却を図り、“ステキな40代男”を目指すべく奮闘中。

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