テストステロン次第?
イケメン(横長顔)がモテるワケ

グルーメンへの道|肥満・剛毛・不潔な40代からの脱却

「丸の内朝大学でグルーメンの記事にピッタリなおもしろい講義を行っているクラスがある!」というウワサを聞きつけた我々は、早速調査を開始。年代や職業こそ異なるものの、男性力アップに前向きな受講者の皆さんと共に、その講義の潜入に成功した。ここではその興味深い内容の一部を紹介していこう。

 

モテ男とテストステロンの関係とは?

 

今回の講義テーマは「魅力的な男性とテストステロンの関係」。講師・順天堂大学医学部附属浦安病院の辻村晃先生は、泌尿器科のドクターとして国内外で前立腺がんの研究・治療を行ってきた第一人者だ。男性ホルモンについての研究・知識も豊富な先生だけに、テストステロンとモテ男の因果関係が解明される期待感が高まる。

 

そもそも、テストステロンとは…

最近、巷でよく耳にするこの“テストステロン”は男性ホルモンの一種。男性の場合、睾丸(こうがん)で95 %、副腎で5%生成・分泌され、思春期のヒゲ・声変わり・筋肉の増加・性腺の発達などにも重要な役割を果たしている。さらに最近ではテストステロンの外部からの補充により、さまざまな健康面での改善が見られるという研究結果も報告されるなど、ますますその効果に注目が集まっている。

 

まず辻村先生は、生物すべての行動目的が「自分の遺伝子の複製を最大限に残すこと」であるから、女性は優秀な遺伝子を持つ精子を獲得することが最大の目的になると説明。女性の本能は、優秀な遺伝子を持つ男性を見つける精密センサーのようなものだとして、このテーマを語り始めた。

 

簡単に言うと…

「モテ男」とは「優秀な遺伝子の持ち主」のことで、女性が魅力を感じるのは、生物学的には必然である

 

ちなみにこのモテ男には、ある特徴がある。実験で複数の男性の顔写真を女性たちに見せたところ、人気の高い男性は顔が横長であることが分かったのだ。さらに、イケメン度に比例するかのように“ある数値”も高いという驚きのデータが得られた。人気の高い男性はテストステロンの値も高かったのである。

 

つまり…

女性が本能的にイケメンと判断するのはテストステロンの値が高い男。その男たちは顔が横長の傾向にある

 

となると生物学的“モテる”との因果関係も気になるところだが、このテストステロン、男性の更年期障害として知られる「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」の治療に使われていることでも有名。LOH症候群の主な症状が別記の通りだが、テストステロンは皮膚や骨、筋肉のほか、脳や生殖臓器などといった“男性らしさ”を司る部分に作用することが分かっているだけに、性機能障害に効果がありそうなことは想像に難くない。

 

【LOH症候群の臨床症状】

1) 性機能障害

2) 抑うつ

3) 睡眠障害

4) 筋力低下

5) 内臓脂肪の増加

6) 皮膚の変化

7) 骨粗しょう症

 

テストステロンは男の性機能にも効果を発揮!?

 

興味深いのはテストステロンの投与によって、性中枢である脳(右前帯状回、左島)の活動を促す効果が分かったことだ。生殖臓器の勃起力回復だけでなく、性中枢がコントロールする性欲も回復するとなれば、まさに精力剤いらずと喜びたくもなるが、その効果はそれだけに留まらなかった。何と中年男性の天敵・メタボリックシンドロームにも効果があることが判明したのだ。

 

厚労省が定めるところのメタボの定義は、肥満(腹囲が85㎝を超える)・高血圧・高血糖・高コレステロールの4項目の値で決められており、一般的にメタボに該当する人は心血管系疾患(心筋梗塞など)や脳血管系疾患(脳出血など)を引き起こす可能性が高い。実際、非メタボな人に比べ、3~4項目該当のメタボな人は心疾患の発症危険度が35.8倍にもなるというデータがあるほどだ。そんな中、辻村先生はテストステロンとメタボに関してメタアナリシス(複数の実験結果を統合し、より高い見地から分析)された海外のデータに着目。それを厚労省が定める4項目に置き換えてみたところ、なんとメタボになりやすい原因のひとつとして、テストステロン値の低さが問題であることが分かったのだ。また別のデータでは、メタボな被験者にテストステロン投与による補充を行なうことで、脂肪量の低下や糖代謝が活発になったという結果も判明。さらには動脈硬化の指標とされるIMT(頸動脈の内膜中膜複合体圧)もテストステロンの補充療法により、改善されることが分かった。

 

先にも触れたように、テストステロンは男性ホルモンの一種。男性は自らの体内でそれを生成・分泌することができる。その値を高めることで、性中枢の活性化、勃起力のアップ、さらにメタボ症状の改善ができれば見た目もスッキリ。当然、モテる要素が増えたことで男性力アップにつながるわけだ。と今回の講義レポートはここまで。次回はこの続き、もうひとつの生物学的“モテる”の要素となる“免疫力の高さ”についての講義内容をお伝えするぞ。

 

<今回取材させてもらった講義>

丸の内朝大学

心体学部「よっ!男前クラス~男が憧れる男のなり方~」

東京・丸の内「メンズヘルスクリニック東京」で開催されている全8回の集中講義。各分野で活躍するドクターや専門家が、カッコいい男性の内面・外見を医学的見地から分析し「男が憧れる男のなり方」をテーマにした講義を行っている。また講義内容と連動させた「男性力検査」を数回実施し、受講者の男性力の変化を数値によって確認できるようにするなど、興味深い取組みも行っている。

 

中村 慶(なかむら・けい)
フリーライター・編集。1972年生まれ。“肥満・剛毛・不潔”な現状からの脱却を図り、“ステキな40代男”を目指すべく奮闘中。

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