モテたいなら「イケメン」より
「イケメン風」を目指すべき理由

連載|梅野利奈のモテ・グルーメンの法則

近年、女性だけではなく、男性も自分の見た目を気遣うことは、もはや「マナーとして当然」とされている。シャツのシワをのばす、鼻毛や無精ヒゲを整える、爪を切るなどは、昔も今も変わらず、社会人として気をつけなければならない身だしなみだろう。しかし、近年は「乱れを整える」を越えた領域まで及んでいることが、特徴のひとつだ。

 

私は社会人学生として大学に通っているが、「整形したい」「メイクをしている」という男子学生に出会うことがある。私が現役大学生だったころは、男友達からこのような声は一度も聞いたことがなく、むしろ女子に「服、汚い~!」と、なじられても平気な顔をしていた。女子が一生懸命メイクをして、素材そのものを「元からかわいい風」に仕上げるのに躍起になるように、今は身だしなみという枠を超えて、顔そのもののレベルを上げたいと願う男性が増えてきているのだ。

 

美意識は多かれ少なかれ、誰もが元から持っている本能みたいなもの。だから、男性だからといって女性並みの意識の高さを持っても、なんら不思議ではない。しかし、その目的が「女性からモテること」だとしたら、ちょっと考え直すべきなのかもしれない。なぜなら、女性が惚れるのは「イケメンの顔」ではないのだ。

 

「異性の何を重視するか」ということを検討した心理学研究の例をご紹介しよう。①イケメン&美人のハンバーガーショップの店員、②見た目はイマイチだけど高級ファッションに身を包んだ男女の2者を用意して、男女回答者に「どちらを恋人にしたいか」と尋ねた。その結果、男性回答者は、①の美人を多く選んだ一方で、女性回答者からは、②の見た目がイマイチだけど身なりがいい男性の方が選ばれたのだ。

 

このことから分かるのは、男性は「素材そのもの」を重視する一方で、女性は服装も入れた「全体イメージ(社会的イメージ)」を重視する。要は、素材の良し悪しというよりも、全体がなんとなくキマっている「イケメン“風”」の方が、モテやすいということなのだ。

 

美容といってもスキンケアやヘアアレンジだけではなく、広くはファッションや姿勢なども含まれる。もし、あなたがモテを密かに狙う、ハンターなグルーメンの一面を持っているとしたら……。「細部磨き」ではなく「全体なんとなく磨き」の方が結果は期待できちゃうかも!

 

すべてが完璧にキマっている男性を目指す必要なんてないのだ。服装も髪型も30点だけど、肌は90点、というよりも、服装も髪型も肌も60点を目指して、すべてにちょっとずつ力を入れつつ、ちょっと脱力する……そのぐらいのゆとりが、あなたをモテ男にしてくれるのかもしれない。

 

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梅野 利奈(うめの・りな)
ビューティープランナー・美容ライター。外資系経営コンサルティング会社、国内化粧品会社でマーケティング・商品開発に携わり独立。現在は、社会心理学を研究しながら、みんながキラキラになれる「心理美容」を提唱。美容雑誌やファッション誌での執筆活動を中心に、結婚相談所では男性向けセミナー講師なども勤めている。著書に『ブスデトックス~イイ女の逆引き美容テクニック集~』(スタンダードマガジン刊)、『会って3秒で「ステキ」と思わせるデート・お見合いの服装&身だしなみ』(学研刊)。

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