カルシウムでは治せない
あなたのそのイライラ…

連載|管理栄養士ほっけの「賢く男メシ」

イライラしている時に「カルシウム摂った方がいいよ!」なんて言われたことはないだろうか? これは、カルシウムに脳細胞の興奮を鎮める作用があることから言われているのだろうが、実はカルシウム不足とイライラは直結しない。

 

それはなぜか?

 

病気や障害のない健康的な体では、血液中のカルシウムが不足しても、骨に蓄えられたカルシウムが溶けだし、血中カルシウム濃度を一定に保つ。つまり、血中のカルシウム量が不足しても骨から得られるため、すぐにイライラにつながるわけではないのである。

 

イライラの原因は何なのか?

 

ポイントとなるのは、脳内神経伝達物質の“幸せホルモン”といわれる「セロトニン」だ。セロトニンは、不足すると感情が不安定になるとされており、うつ病や不眠症などの原因としても知られている。このセロトニンを体内で作り出すために必要な材料のひとつが「トリプトファン」という必須アミノ酸なのだが、必須アミノ酸は人間の体内では作ることが不可能。というわけで、トリプトファンを食事から摂取することが大切となる。

 

トリプトファンを多く含む食べ物は?

 

トリプトファンが多く含まれる食べ物は、乳製品や大豆製品、ナッツ類。また、セロトニンの多くは腸内で作られるため、腸内環境改善のためにも納豆やチーズ、鰹節、ヨーグルトなどの発酵食品の摂取が大切だ。小腹がすいたらおやつにアーモンドやチーズ、ヨーグルトをチョイスしよう。また、適度な運動も欠かせない。運動はセロトニンの分泌を促すとされているためだ。

 

そしてもうひとつ、注意したいことがある。それは「イライラしたら甘いもの」という習慣のある人(男性には意外と多いような気がする)。少量であれば一時的なイライラ解消に効くが、1日中食べていたり、摂取量が多いと逆効果。神経が不安定な状態になりやすいのだ。もちろんメタボの原因にもなるため要注意だ。

 

幸せホルモンのセロトニンを増やすには、日々の生活が大事! イライラした時には、まず自分の生活習慣を振り返ってみよう。

 

 

ほっけ

管理栄養士。病院、クリニック、企業でのメタボ指導、栄養指導を3,000人以上経験。病気の一次予防の重要性を感じ、若年層への食事や運動の見直しや気付き、改善へと導く提案を発信。

 

▶ほっけの他の記事を読む