春から始めるデンタルケア特集。最後のテーマは、“歯並び”について。前回の「磨けているようで磨けていない 口臭の原因、歯垢・歯石にご用心」でも触れているとおり、歯並びが悪いと、きれいに歯を磨くことが難しくなり、歯垢が溜まりやすい=虫歯、歯周病へのリスクが高まる要因に。乱れた歯並びは見た目も美しくなく、「あの人、他は素敵なのに口元がちょっと……」と陰で言われてしまうかもしれない。今回は、審美歯科「ホワイトホワイト」院長の石井さとこ先生に、歯並びが悪くなる原因や最新の歯列矯正法について聞いてみた。
固いものを食べない、スマホいじり……現代人は歯並びが乱れがち?
「子どもの頃に歯列矯正をしても、親知らずや噛み癖などで戻ってしまうことはよくあります。歯並びが悪くなる理由は先天的なものがほとんどですが、現代人らしい後天的な理由も最近は目立ちますね。良く噛んで食べない、固いものをあまり食べないなどの食生活で顎の運動をしなくなると、顎の発達が悪くなり歯並びにも少なからず影響が出ます。それから最近の人は携帯電話やスマホを見る時間が長くなりましたよね。『スマホだるみ』と呼んでいるんですが、下を向く上に喋らないので顔や舌が動かず、口まわりがたるんでしまうんです」
なんと、よく“現代人はコミュニケーション不足”なんて言われるが、その弊害は口元にまで及んでいるのだ。これを読んでいるグルーメンたちの中にも、思い当たる人は多いのではないだろうか。
目立たない上にホワイトニングも! 最新の「マウスピース矯正」って?
ますます気になる自分の歯並び。とはいえ歯列矯正といえば、値段が高い・時間がかかる・ワイヤーが目立つ、とあまりいいイメージはしない。ところが、石井先生によれば最新の「マウスピース矯正」ならそれらの弱点がすべて解消されるというのだ。
「マウスピース矯正は、その名の通り歯列に合わせて作ったマウスピースをはめて行う矯正のことです。まず歯型の模型を取って、最終的な理想の形に整うまで1ミリ単位で調整しながら、1ヵ月ごとに新しいマウスピースを作っていきます。期間としては平均で1年から1年半、個人差があるので、人によっては3ヵ月~半年で完了する人もいますね。矯正の方法は至ってシンプル。最初はソフトタイプのマウスピースをはめて10日間、慣れてきたころにハードタイプで20日間、これを1ヵ月ごとに繰り返していきます。ワイヤーと違っていつでも取り外しができるので、家にいる時だけつけたり、食事の時は外したりと自分のペースで矯正できます。
費用は、レントゲンや模型作成などの検査費用が30,000円(税別)で、これは一般的なワイヤー矯正と同じ。処置料はワイヤー矯正だと年間100万円ぐらいかかりますが、マウスピース矯正は1ヶ月50,000円(税別)+処置料が5,000円(税別)。支払いも毎月なので、一般的な矯正よりも負担は軽くなると思います。また、透明なマウスピースを使うので目立ちにくく、TVや雑誌に出るアイドルやモデルの方からも好評です」
さらに、マウスピースにホワイトニング用のジェルを塗って装着することもできるのだとか。歯列矯正とホワイトニングが一度で叶うという、一石二鳥のメリットもあるのだ。
いいことづくしのマウスピース矯正だが、歯並びのガタガタが強い場合や歯周病がある人は治療を受けられない場合もあり、あまりガタガタが強くない人、1本だけ歯がずれている人などが向いているそうだ。とはいえこれまでワイヤー矯正でないと直せないと思っていた歯並びが、マウスピース矯正技術の登場によって選択肢が広がったことは大きい。自分の歯並びや生活習慣に合わせて、ベストな矯正方法を選ぼう。
石井さとこ先生
ホワイト ホワイト デンタルクリニック院長。雑誌・TVなど、さまざまなメディアで審美歯科治療の普及に努め、タレントやモデル、スポーツ選手などからの信頼も厚い。著書に、「口元から美人になる52の法則」(講談社)、「美歯道」(小学館)。
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画像/Andy-Rennie 取材・文/芳賀直美(OUTSIDERS Inc.)