すでに承知の通り、男性ホルモンは“オトコらしさ”の象徴。その代表格ともいえるのが「テストステロン」である。一般的に男性のテストステロン値がピークを迎えるのが20代で、そこから年齢を重ねていくにつれ、徐々にその値が減少していく。男性ホルモンの減少というと性欲減退やED(勃起不全)を想像する方が多いと思うが、問題はそれだけにとどまらず、心や身体のバランスを崩すことで、さまざまな悪影響を及ぼすことが分かっている。そしてその予兆は、あなたが「男性更年期障害」になっている可能性を示唆するものかもしれないのだ。
あなたは大丈夫? 男性更年期症状をチェック!
まず、下のリストの中から自分にあてはまるものをチェックしてみよう。
□体がだるい、やる気が出ない
□ささいなことでイライラしてしまう
□集中力や記憶力が低下したと感じる
□汗を過剰にかいてしまう
□筋力が落ちた
□疲労感がとれにくい
□めまいや頭痛になりやすい
□朝勃ちしなくなった
さて、あなたはいくつ当てはまっただろうか?
実は上記の項目は、男性更年期に見られる諸症状。つまりひとつでも当てはまっていたら、男性更年期症状の可能性がある。「更年期」と聞くと「50代の症状」と思うかもしれないが、実は男の更年期障害に年齢は関係ない。先ほども伝えた通り、原因は「男性ホルモンの減少」にあるためだ。
男性更年期についてより理解を深めるため、専門家にお話を伺った。
取材にご協力いただいたのは…
順天堂大学医学部付属浦病院 泌尿器科 先任准教授
メンズヘルスクリニック東京
男性更年期専門外来/男性妊活外来 主任担当医
辻村晃 先生
メンズヘルスクリニック東京で男性更年期専門外来の診療なども行う、男性更年期治療のエキスパート。昨年は丸の内朝大学にて「魅力的な男性とテストステロンの関係」についてのユニークな講義を行うなど“男らしさ”についての幅広い見識を有するドクター。
知らぬ間にテストステロンが減少…自覚しづらい男性更年期
「男性更年期にはさまざまな症状が表れますが、それらは<心の症状><体の症状><性の症状>の3つに大きく分類できます。現代社会に暮らす成人男性なら、何かしら当てはまる要素はあると思いますが、問題なのはそれらの症状が男性更年期によるものだと理解していないこと。それだけ自覚しにくいものなのです。
男性更年期になる原因のひとつとして、体内の男性ホルモン(テストステロン)の減少が挙げられます。しかし、一般的な健康診断ではテストステロン値を測ることはあまりしませんし、一時的にテストステロン値が上昇した場合は症状も改善するため、ますます自覚がしづらいといえます」(辻村先生)
さらに辻村先生は、男性ホルモン減少による男性更年期の症状は個人差が大きいという点を指摘。それは発症時期や回数なども異なると語る。
「女性の更年期と異なり、男性更年期は一度だけというわけではありません。男性ホルモンのバランスが崩れれば、何度もその症状が現れます。またテストステロン値が該当年齢の平均値を下回っていたとしても、症状が現れないという方もいます。また『LOH症候群(加齢に伴う性腺機能低下症)』はある程度の年齢の方に見られるものですが、最近では若年性の男性更年期である方も増えています。
これらを踏まえると、成人男性の方は、まず自分のテストステロン値を測定し、自分の適性値を知ることで、男性更年期の症状を改善することができるかもしれません。もし男性ホルモンの減少が原因だった場合、医療機関でテストステロン補充の治療を受ける事ができます。その場合、すぐに症状が改善されるケースもありますので、まずは自分が男性更年期ではと感じられる方は、専門外来を受診することをおすすめします」(辻村先生)
気軽に“現在の男性度”を知る方法とは?
とはいうものの、いきなり受診するのに少しためらいがある人もいるのでは。そんな人には、専門外来を受診する前に、まず自分のテストステロン値を知ることから始めてみるという方法もある。それはメンズヘルスクリニック東京が行っている『男性力ドック』というものだ。これは男性ホルモンの検査を中心に、年齢、骨年齢、性機能年齢、血管年齢などを含め、トータルで“現在の男性度”を調べるというもの。この結果により「メンズヘルス診療」と「メンタルヘルス診療」で、男性更年期の診療を受けるというものだ。これならば人間ドックぐらいの気軽さで受けることができそうだ。
これからの時期、とかく猛暑にヤラれて“夏バテ”なのかと疑う前に、まずは自分の体内の声に耳を傾けてはどうだろうか。その原因がもしテストステロン低下によるものだとすれば、すぐに男性更年期外来を受診することをおすすめしたい。せっかく外見の男っぷりを上げたところで、内面や健康面が伴わないのでは、それこそ本末転倒である。
<男性力ドック>
メンズヘルスクリニック東京「男性力ドック」 30,000円(税別)※初回のみ
取材・文/中村 慶