特別、顔立ちが整っているわけではないのに、なぜかかっこいいと言われる人がいる。彼らの何が人を惹きつけるのか、よくよく探してみると、それは「眉」であることに気付いた。眉がイケてないイケメン、もしくはイケメン風メンズにはなかなかお目にかからない。普通の眉、個性のある眉とそれぞれ種類は違うものの、彼らは最も自分に似合う「いい眉」を必ずといっていいほど持ちあわせていた。
眉ほど奥が深く、影で権力を握っているものはない。しかし、眉が左右つながっている、長すぎるというように、何かしらユニークな特徴をもっていないかぎり、人からお節介に眉を整えるよう指摘されることはないだろう。他人はいちいち教えてくれないが、眉ほど男の顔を簡単に、また大きく変えうるものはないのだ。
その点を重々に知っている女性は、眉について常に本気だ。「すっぴんなんて無理。せめて眉だけでも……」と多くの女性が思うのは、すべての人が抜きすぎて眉が全くないわけではなく、「いい眉」があるだけで顔が引き締まり、なんとなく仕上がった感が出せるからだろう。そんな眉と常に向き合っている女性ですら、どうしていいかわからないと悩む、最も手のかかるパーツなのだ。
男性と女性で、眉との向き合い方は異なる。女性は「足りないところは描く」化粧を当たり前に使うことに対し、化粧を毎日する男性はごく少数派。しかし、男性は女性よりも圧倒的に有利だ。男性は眉の毛質が太くてしっかりと生えているため、女性のように「生えないんです」といった絶望的な悩みを抱えず、「この毛、どう整えるか」ということに集中すればいいのだ。そう、男性にとっての勝負どころは、自眉の整え方だ。
そこで、「いい眉」を持つモテメンズに眉のお手入れ法を聞くと、かなりの高確率で「頻繁に自分で整えています」と答える。何もしなくてもずっといい眉、は意外に少ない。
さらにはその整え方もプロ並みだ。眉用ハサミに眉用シェーバー、毛抜きなど複数のアイテムを駆使して、自己流のベストカット法を編み出している。女性が10代の頃から一生懸命に化粧をしても上手に仕上がらないが、20代になるとどんな不器用女子もそれなりにスキルが磨かれていくように、彼らも毎日スキルを磨いていい眉をつくる術を身に付けてきたのだ。さすが、イケメンは1日にして成らず、なのか……。
また、「自分ではできない」、もしくは「もっとキレイに整えたい」という人はヘアサロンに行った際に「眉もカットお願いします」と頼んで効率的にプロに任せるという手段もあるし、なんなら彼女にお願いするのもいいかもしれない(彼女が下手ではないことを祈る)。とにかく、男だって眉に本気で向き合う方法はたくさんある。
新年を迎え、気持ちも引き締まる、この時期。自分を磨くため、なにから始めようと考えているなら、まずは眉、が正解だ。
梅野 利奈(うめの・りな)
ビューティープランナー・美容ライター。外資系経営コンサルティング会社、国内化粧品会社でマーケティング・商品開発に携わり独立。現在は、社会心理学を研究しながら、みんながキラキラになれる「心理美容」を提唱。美容雑誌やファッション誌での執筆活動を中心に、結婚相談所では男性向けセミナー講師なども勤めている。著書に『ブスデトックス~イイ女の逆引き美容テクニック集~』(スタンダードマガジン刊)、『会って3秒で「ステキ」と思わせるデート・お見合いの服装&身だしなみ』(学研刊)。
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