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流行りのツヤ髪に魅了される男、
違和感を覚える女、その違いは?

連載|梅野利奈のモテ・グルーメンの法則

ここ2~3年で、メンズビューティに訪れた新たな風が定着しつつある。それが「ツヤ髪」だ。お洒落なオフィスワーカーの髪は、あっちをみても、こっちをみても、パリッと固められており、その様子はどんな風が吹こうともバッチリ崩れなさそうなほどだ。今でこそ見慣れてきたが、最初に見た時は、かつて、おじいちゃんの髪を固めていたポマードを思い出した。当時、小学生だった私は、あの独特のにおいが苦手で、おじいちゃんの車に乗るといつも気分が悪くなっていた。今のツヤ髪メンズは、独特なニオイはないものの、おじいちゃんから感じた“あの雰囲気”は共通して持っているように思える。だから、実家に帰省した際に、いつの間にか2ブロックのツヤ髪に変身していた兄の姿を前に、「なんか、嫌だ!」と叫んでしまったのだ。

 

なぜ、最近の男性はみんなツヤ髪に魅了されるのか?

 

ポマードが出回り始めたのは1920年代頃のようだが、さらにさかのぼること江戸時代には、鬢付油で髪を整えていた男性が多かったようだ。どちらも、主成分は油であり、ぎっとりとしたツヤが出るのが特徴だ。今の時代のように、ふんわり根本から立ち上がる無造作ヘアに仕上げるアイテムがなかったため、見た目のきちんと感を出すためにも、ツヤ髪は男のたしなみでもあった。そう考えると、むしろツヤ髪は原点回帰というか、トレンドでもなんでもなく、これぞ「ザ・基本スタイル」なのかもしれない。そして、歴史に名を刻まれた男性たちの多くがパリッとしたツヤ髪であることから、「かっこいい男のイメージ」のひとつとして、多くの人たちに無意識的に刷り込まれているのかもしれない。女性が、キレイなモデルのマネをするように、男性も「男が惚れる男」に近づこうとするのは当然のこと。その一歩が「ツヤ髪」だとすれば、なんとなく今の流れに納得がいく。

 

しかし、前述のように、兄が久しぶりに帰省した妹から、第一声「嫌だ!」と言われてしまうように、私の周りでも「人によってツヤ髪は抵抗感がある派」が存在する。なぜいやなのか…? その答えは至ってシンプルで、「違和感」があるからだ。

 

パリッと固められたツヤ髪は、男性らしさを助長する。武士のツヤ髪や、ロックンローラーのリーゼントで固められたツヤ髪にも違和感はないが、普通の優しいメンズには違和感を覚えてしまうのだ。髪型は、人格を体現する。いかにもマジメそうな学級委員長タイプの女性が茶髪の巻髪ヘアだったら違和感があるように、すでにイメージが完成されている髪型は、どうしても人を選ぶものだ。今、時代的にも、男性がどんどん優しくなっているなか、髪型だけ男らしく強いのは、どうしてもそのギャップに注目がいってしまう。その結果、「違和感がある」と、思われてしまうこともあるのだ。

 

ツヤ髪旋風を見ていて思うのは、女性化が指摘されるイマドキ男性だって、「より男性らしくなりたい」という願望をもっているということ。そして、それを気軽に体現できるもののひとつが、ツヤ髪なのかもしれない。ツヤ髪は男の性主張であり、それが違和感なく似合うようになった瞬間は、その人の「男らしさ」が一部確立された瞬間なのかもしれない。

 

ちなみに、私はツヤ髪が好きでも嫌いでもない。男性がよく言う「その人に似合っていればOK」というセリフがぴったりあてはまる。ただ、今の時代、ツヤ髪ほど、「似合う」が難しい髪型もないのではないか…とは思う。

 

 

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梅野 利奈(うめの・りな)
ビューティープランナー・美容ライター。外資系経営コンサルティング会社、国内化粧品会社でマーケティング・商品開発に携わり独立。現在は、社会心理学を研究しながら、みんながキラキラになれる「心理美容」を提唱。美容雑誌やファッション誌での執筆活動を中心に、結婚相談所では男性向けセミナー講師なども勤めている。著書に『ブスデトックス~イイ女の逆引き美容テクニック集~』(スタンダードマガジン刊)、『会って3秒で「ステキ」と思わせるデート・お見合いの服装&身だしなみ』(学研刊)。

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