近頃話題の「お洒落バーバー」の出現で、理容室が見直されている昨今。あなたは髪を切る時、美容室派?それとも理容室派? そもそもこの違い、果たしてどれくらいの人が理解しているのだろう。
周りの人に取材をしてみると…
「理容室は男性しかいかない」(32歳・女性)
「ヒゲも剃れるところが理容室で、できないのが美容室」(28歳・男性)
「パーマの種類やデザインのバリエーションがあるのが美容室」(34歳・男性)
と、だいたいこのような答えが返ってきた。
そもそも、美容師と理容師は資格自体が別物。専門学校で学ぶ内容にも違いがある。この件について、原宿のヘアサロン『fifth』の横川さんに聞いてみた。
こちらのサロンはメンズ雑誌でお馴染みの人気店で、来客の4割が男性だという。
「最大の違いはカミソリを使用できるのが理容室で、例えば顔剃りや髭剃りなど、かみそりを肌に直接的に当てる行為が認められています。一方、これらの行為が認められていないのが美容室です。とはいえ髪に対してのレザーカットだけならできますし、現在は美容室に来られる男性もかなり多くいます。法律以外の違いはやはりデザインの印象でしょう。理容の場合、簡単に言うと“角を残す”デザイン、美容の場合は“角を取る”デザインに仕上がります。最近は2ブロックが最も人気のスタイルですが、理容室で作るとメリハリのあるかっちりとした印象に、美容室ならややグラデーション感のあるソフト2ブロックにデザインされることが多いようです。そもそも理容と美容は教わるカット法に違いがありますから、当然このような差があるのです」とのこと。
この他、1978年に旧厚生省が出した通知では、
「美容師が男性にカットのみを行う行為を禁止」
「理容師が女性にパーマを施すことを認めない」
と、されていた。んんっ??? 美容師が男性にカットだけをしてはいけない???
全くもって時代錯誤なルールだ。
が、晴れて2015年7月、この古臭い法律が改正され、美容師による男性のカット、理容師によるパーマの施術が認められるように。
おもしろいのはこの数ヵ月前、あの安倍晋三首相が「妻の昭恵さんの紹介で、渋谷の美容室にほぼ毎月通っている」と報じられたこと。すると、厚生労働省幹部が「この行為は法律違反の疑いがある」と発言。波紋を呼んだ。こんなことがあったからか、長年に渡って奇妙なルールに縛られていた理容・美容の法律が、いとも簡単に見直されたというオチがあるのだ。
ところで、メンズたちはどちらの方がより納得のサービスを受けられるだろう。
「比較的若い理容師が経営する、いわゆるお洒落バーバーは、オールドアメリカンな雰囲気が魅力ですね。店内の内装もチェック柄の床やタイルの壁、エントランスにはハーレーが止まっていたりとか。もちろん、作るヘアスタイルもはさみとレザーでメリハリをつけていて男らしい。グリースなどでビシッと仕上げるのでクールな印象。ヒゲとの統一感も作れる点は、美容室にはない利点です。一方、髪に束感やランダム感をつけたり、ニュアンス感のあるパーマを取り入れたいなら美容室がおすすめです。彼女や奥様、娘さんと来店される方も多くいらっしゃいますよ」
余談だが、筆者の周りで美容室を選ぶ人は「かわいい女子に担当してもらいたい」って人、決して少なくない(笑)。これもひとつの楽しみと言えるだろう。
ま、やはり決めてはデザインの仕上がり感。どちらが好みかにつきるのかもしれない。
メンズスタイルに定評のある『fifth』オーナー。来店の4割が男性ということもあり、お洒落サロン初体験の人でも気軽に入りやすい雰囲気。デザインはもちろん、育毛などの悩みも丁寧にアドバイスをしてくれる。
TEL: 03‐5766‐0552
MAIL: 5@fifth-5.com
フリーライター・編集・企画。ヘア&ビューティが専門。女性誌はもちろん、男性向けヘアカタログ、薄毛対策記事などを多く手掛ける他、東京・青山にてヘアサロンを運営。