前回、ブームとなるダイエットの多くはリバウンドのリスクがあることや、見過ごせないデメリットがあることについて、「糖質オフダイエット」を例に紹介した。今回も引き続き、栄養士が絶対にやらないダイエットとその理由を、こっそりお教えしよう。
バナナ、スムージー、ヨーグルト、野菜ジュース……これらのような単品を朝食と置き換えるダイエットは、夕食をガッツリ食べたい人や夜型の人にとっては始めやすい。前日の食事が消化しきれていなかったり、身体がしっかりと目覚めていない場合、手軽で口当たりが良いこれらのものがダイエットにもなるなら誰もが飛びつきたくなるものだが、やはり注意が必要だ。
バナナやフルーツヨーグルトなどに含まれる栄養素は限られており、不足しがちなミネラルやビタミンを補うことはできても「主食・主菜・副菜」がそろった食事には到底かなわない。もちろん朝食に何も食べないよりは何か1品でも口にした方が良いのだが……。
そもそも、このダイエット法は1食を劇的にカロリーダウンすることにより効果が得られるものだが、1〜2ヵ月で停滞することが多い。なぜなら、身体に必要な栄養素が不足した状態では、代謝の良い状態をキープできなくなるから。つまり、単品ではなく普通に食事にプラスしてこれらを摂ることができれば、栄養バランスも充実し痩せやすい身体を作ることにつながるのだ。朝食を充実させると、日中の体温上昇がスムーズになり、午前中からエネルギッシュに過ごせることもメリットのひとつ。通勤時に階段で息切れしたり、仕事中にあくびやお腹の音で周囲からヒンシュクをかうこともない。デスクワークや学習の集中力もアップするというデータも多く、嬉しいことずくめだ。
ちなみにシリアルや栄養バランスの整ったダイエットシェイクを利用する方法は、糖分や人工甘味料によって強い甘味がつけられているものが多いので要注意。激甘の加工品は味覚を狂わせ、結局はダイエットに支障となる。購入する場合はぜひ甘味の少ないタイプを選ぶようにしよう。
<朝食置き換えダイエットのリスク まとめ>
・カロリーを気にすると栄養バランスが偏りがち
・単品の食事だと必要な栄養素が不足し、代謝が悪くなる
・シリアルやダイエットシェイクは栄養バランスこそ良いが、人工甘味料は味覚を狂わせる
写真/Natasia Causse 文/お皿のフチこ
管理栄養士。クリニック・企業にて豊富なメタボ指導経験あり。世の男たちのメタボリスクを下げ、健康に過ごしてもらうべく、目的に合った食事の選び方、効果的な摂取法について発信。