「背筋を伸ばしなさい」。
幼い頃、まわりの大人からこんな注意を受けたことはないだろうか? なぜ背筋を伸ばさないといけないのか……子どもの頃はモヤモヤしていたが、今ならその理由が分かる。背筋を伸ばさないと、すべてが台無しになるからだ。
セミナー講師を務めるようになってから、いろんな講演会や勉強会に参加するようになり気付いたのは、おもしろいほど「成功」と「姿勢」に相関関係があること。企業家セミナーなどでオーナーたちが集まると、みなこぞって背筋が“スン”としていて、見ている方も清々しい。一方で、経営などには関係のないカジュアルなオープンセミナーなどでは、“ダラ~ン”とした様子で、どこか頼りなく見える人が多く見られた。
もちろん、服装によって意識も変わるため、スーツを着ている時は姿勢が伸びるという人もいるだろう。しかし、考えてほしい。毎日の中でどれだけの時間、姿勢について意識しているだろう? ふとした時の姿勢は考えて作られるものではない。もはや癖なのだ。「会社にいるときぐらい、背筋伸ばしてるよ」なんて言う人は、要注意。自分の1日をビデオで撮ったとして、そこに映っている自分に愕然とするはずだ。
そしてもうひとつおもしろいのが、男の自信が表れる姿勢は時代と共に変化しているということだ。昔の官僚たちが映る映像には、「これでもかっ!」ってほどに胸を張った男性ばかり。私は幼い頃、そんなおじさまたちの姿がおもしろくて「エッヘン、俺様が歩くぞ~」と威勢のいいセリフを吐きながら、よく真似したものだ。しかし、そんな「エッヘン」姿勢は今の30、40代にはいない。今の男性は、自信を過剰に出すのではなく、あくまでも“自信はさりげなく醸し出す”がカッコイイ、のだ(たぶんね)。そのため、威勢良く張っていた胸はどんどん押し込まれ、今は“スン”と背筋がまっすぐで首が伸びた姿勢が、イマドキ男性を一番カッコよく見せてくれるのだ。
人はパッと見で他人の印象を決める。名刺交換をする前に、すでに印象はある程度決まっている。「なんか、この人仕事できそうだな」「頼りにできそう」と思わせるためには、髪型でもなければお洒落なスーツでもない。“スン”とした姿勢なのだ。
プライベートも仕事でも、いつどこでみてもスマートでいるために。まずは“スン”を癖付けよう。デキる男の雰囲気は、勝手に作り上げられるものではない。自分で作り上げるものなのだから。
梅野 利奈(うめの・りな)
ビューティープランナー・美容ライター。外資系経営コンサルティング会社、国内化粧品会社でマーケティング・商品開発に携わり独立。現在は、社会心理学を研究しながら、みんながキラキラになれる「心理美容」を提唱。美容雑誌やファッション誌での執筆活動を中心に、結婚相談所では男性向けセミナー講師なども勤めている。著書に『ブスデトックス~イイ女の逆引き美容テクニック集~』(スタンダードマガジン刊)、『会って3秒で「ステキ」と思わせるデート・お見合いの服装&身だしなみ』(学研刊)。
■バックナンバー