印象を良くしようとした時、多くの人がまず考えることは「服装」や「体型」をブラッシュアップすることだろう。服装や体型は見た目の約8割以上の面積を占める。パッと目に入る部分だからこそまず大きな部分から始めるというのは、確かに王道だ。そして、その次に気になるものといえば「ヘアスタイル」「体毛」「ヒゲや眉」といった、やや目立つところにあるものの面積的にはやや小規模のもの。そして、最も目立たないパーツといえば、近い距離でよ~く見なきゃ分からない「爪」や「鼻毛」などがある。この最も目立たない部分は、磨けば印象がガラリと変わるわけではない。ただし、「かっこいい」とか「さわやか」などの表面的な印象ではなく、もっとドロッとした本質的な印象には大きく影響を与えているのだ。
前述の通り、服装や体型、ヘアスタイルといった部分は目につきやすい。そのため人の目を気にする人であれば、ある程度のレベルは意識しているだろう。しかしながら、目立たないパーツに関しては「爪はそこまで長くなければOK」「鼻毛は飛び出してなければOK」と、本当に最低限のチェックに留まり、それ以上追及する必要はないと思ってしまう。この意識のレベルの差が、“ミソ”なのだ。服装や体型、ヘアスタイルはその人が「どう見られたいのか」という想いを表わす一方で、目立たないパーツは「その人の生活態度、潜在的な清潔感や美意識」を表わしてしまうのだから。
パッと見はキレイなのに、ネイルがボロボロ、ヒールのかかとがボロボロの状態の女性に対して「この人、家汚いかも」などネガティブな印象を抱いた経験はないだろうか? 目立たないパーツこそ、その人の隠したい本性みたいなものを、真偽問わず人に伝えてしまうのだ。
爪は分かりやすいが、「ん?鼻毛……?」と思われた方もいるだろう。そこで、どうして私が鼻毛にこだわっているのか(笑)、その理由についてご説明したい。
突然だが、みなさんは鼻毛カッターとやらを使ったことはあるだろうか? 女性で使っている人は少数派だと思うが、以前講演で男性参加者に聞いたところ約半数が使用経験アリと回答していた。そんな身近な存在だったとは……と驚き、興味を持ち始めて色々調べたところ、鼻毛カッターを使うと「鼻毛が見えなくなる」という単純な効果だけではなく、なんだか顏の清潔感がアップしてしまうという面白い発見を得た。
なぜ、見えない鼻毛を処理することで見た目が変わるのか……、それは「鼻毛がつくる影」にあった。鼻毛があると鼻の穴の影が深くなる。そのため鼻の穴が目立ちやすくなるのだ。影が消えることによってスッキリしてみえ、それが清潔感につながっているようだ。
ふぅ。鼻毛にここまで真剣になったのは初めて……(苦笑)。
「女性は男性ほど容姿の良し悪しを重視して選んでいない」という心理学研究の見解がある。カッコいい、カッコ悪い、ではなくて、女性が重視するのはもっと本質的なもの。だとすれば、いくら隠れているとはいえ気を抜くのは危険かもしれない。
梅野 利奈(うめの・りな)
ビューティープランナー・美容ライター。外資系経営コンサルティング会社、国内化粧品会社でマーケティング・商品開発に携わり独立。現在は、社会心理学を研究しながら、みんながキラキラになれる「心理美容」を提唱。美容雑誌やファッション誌での執筆活動を中心に、結婚相談所では男性向けセミナー講師なども勤めている。著書に『ブスデトックス~イイ女の逆引き美容テクニック集~』(スタンダードマガジン刊)、『会って3秒で「ステキ」と思わせるデート・お見合いの服装&身だしなみ』(学研刊)。
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