化粧をしない男たちにとって、眉は顔の印象を大きく変えるパーツのひとつ。髪型やヒゲを整えるのと同様に、眉毛の手入れも定期的に行いたい。しかし、その“手入れ加減”が、なかなかに難しい。「きちんとしている」と思われるか「やり過ぎ」と思われるか……この微妙な加減を見極めることこそ、グルーメンへの第一歩。そこで今回は、資生堂ビューティトップスペシャリストの原田忠さんに、イマドキな男らしい眉についてお話を伺った。
なぜ男たちは眉毛を整えなければならないのか
「例えば、平安時代の上流階級の人たちに眉が無かったのには理由があります。眉が上がっていると怒っているように見えたり、下がっていると悲しそうに見えますよね。眉は、その人の表情や感情の起伏を表す重要な要素となるため、彼らは表情を悟られないために敢えて眉を無くしていました。
現代においても、眉はその人の“印象”を左右する大きな要素です。太い眉はたくましく、細い眉は繊細に見えますし、整えることで清潔感や若々しさを演出できます。最近では、眉を整えることによって顔の印象が変わるということを、多くの男性にご理解頂けるようになり、身だしなみのひとつとして定着してきたように思います。ただ、注意しなければならないのは、見よう見まねで眉に手を入れると、剃り過ぎたり、形がちぐはぐになってしまったりして、逆に見る人に気を遣わせてしまうという事です。商談相手の眉が異様に細く、剃った部分が青くなっていたら、気になって仕方ありませんよね? これではせっかくの商談も台無しです。眉毛に限らず、身だしなみというのは相手への気遣いです。余計な考えを起こさせない程度に整えることが重要です」
男らしい眉毛とは?
「男性は、女性のように眉毛の形に流行りはありませんが、“何もしない”ことと“やり過ぎ”はスマートではありません。敢えて『男らしい眉』を定義するならば、ある程度太さがあって、それなりに眉山(角度)があって、意思の強さを感じるような眉でしょう。資生堂が定義している『標準眉のプロポーション』(下図参照)を参考に手入れをして頂ければ、いわゆる現代の“モテ眉”と言われるような男らしい眉に近づけるはずです。
【標準眉のプロポーション】
1 眉頭は目頭の真上
2 眉尻は小鼻と目尻を結んだ延長線上
3 眉山は眉頭から2/3のところ
4 眉頭と眉尻は一直線上
資料提供:資生堂
とはいえ、そもそも眉の形は人それぞれなので、形にこだわり過ぎて取って付けたような眉になってしまっては“やり過ぎ”です。自然に見えるコツは、剃ったり抜いたりする際に、太い毛の外側1~2mmくらいの産毛を残すことです。肌との境界線が自然に馴染み、いかにも整えている感が和らぎます。また、意外におろそかにしがちなのが「毛流れ」。毛が下を向いているだけで表情が寂しく見えるので、朝、髪型をセットした際に、指に残ったワックスで毛流れを上にするのも、テクニックとして覚えておくと便利ですよ」
原田 忠(はらだ・ただし)
2000年資生堂入社。資生堂の宣伝広告のヘアメークを中心に、NYやパリ、東京コレクションなどでも多岐にわたり活動。資生堂UNOではヘアディレクターとして商品開発、ソフト情報の作成などにも携わる。2012年4月より資生堂ビューティートップスペシャリストとして活動を開始。著書に『一流の男のボディケア』(PHP研究所)。
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取材・文/GROOMEN編集部